プラシーダス・ハウスシステムの仕組み

目次

🔷 プラシーダス・ハウスシステムとは

「プラシーダスの方法」(Placidus House System)は、17世紀のイタリアの修道士・天文学者である**プラシダス・デ・ティティ(Placidus de Titis)によって体系化されたとされています。
これは
時間分割式(time-based division)**の代表格であり、太陽の動きに基づいて各ハウスを分割します。


🌍 仕組みの基本:時間で分割されるハウス

プラシーダス方式では、次のような考え方でハウスが作られます:

✅ 基本的な考え方:

  • 地平線(AscとDsc)と子午線(MCとIC)を軸に、1日(地球の自転)における天体の移動時間を元にしてハウスを分割。
  • 各天体が、アセンダントからMC(またはICからDsc)へ到達するまでにかかる時間を3等分することで、1つのクォドラントを3つに分ける。

✅ 具体的な手順(簡略化):

  1. 天体が**アセンダント(東の地平線)からMC(南中)まで移動する道のり(時空間)**を時間で測る。
  2. その移動時間を3等分し、ハウス2・3を設定(1ハウスはAscから始まる)。
  3. 反対側のクォドラント(Dsc〜IC)も同様に分ける(7〜9ハウス)。
  4. 結果として、MC・IC・Asc・Dscを基準点とした12ハウスが形成される。

つまり、「天体が空を移動するのにどれくらい時間がかかるか?」という時間軸に基づいて空間を区切る方式なのです。


🧭 プラシーダス式の主な特徴

項目内容
分割方式時間分割(太陽の見かけの移動速度による)
ハウスサイズ不均等(地域や季節により大小のばらつき)
優位性個人の体験や心理的な主観に寄り添う
弱点高緯度地域(北欧・アラスカなど)では使用困難になる場合がある

🔎 他のハウスシステムとの違い(ざっくり比較)

システム分割方式ハウスサイズ特徴
プラシーダス時間分割不均等心理占星術で主流。細やかな個人の体験重視。
コッホ時間分割不均等より天文学的に正確とされる。
イコールハウス緯度無関係均等30度シンプル。初心者にわかりやすい。
ホールサインサイン単位均等30度古典回帰で注目。サインをそのままハウスに。

📚 占星術における意味と活用

◆ 心理占星術との親和性

プラシーダス方式は、20世紀以降の心理占星術で主流として使われてきました。これは、ハウスが意識の発達段階個人的な体験領域と結びついて解釈される傾向が強いからです。

たとえば:

  • 3ハウスが「知性」でもあり「実際のコミュニケーション空間」である
  • 6ハウスが「健康問題」でもあり「日常の義務感」の舞台でもある

といった、より個人の内面と密接なつながりを持つハウス解釈が、プラシーダス方式と相性がよいのです。


💡 利点と欠点

◎ 利点

  • 心理的アプローチに適している(ユング派やリズ・グリーンらが使用)
  • 天体の実際の動きや到達時間を反映し、現実的な象徴性がある
  • 日本国内や中緯度地域では安定して使用可能

△ 欠点

  • 緯度60度以上では計算不能なケースがある(特に出生地が極地に近い場合)
  • 一部ハウスが極端に狭くなったり、逆に広がりすぎて読みにくい場合もある
  • 初心者には数学的な背景が分かりにくく、混乱を招くことがある

🌀 プラシーダス式を選ぶ理由とは?

現代の多くの占星家がこのシステムを選ぶ理由は、**「より個人に沿った象徴性が出る」**ことです。とくに次のような目的に適しています:

  • 心理的傾向の深掘り(感情、価値観、自己認識)
  • 日常生活や社会的役割における体験の場の理解
  • 精神的成長やトラウマの分析など、内面探究型の占星術

✴ まとめ:プラシーダスは「時間」を空間に変換するハウス分割法

プラシーダス・ハウスシステムは、時間的経過(太陽の見かけの動き)をもとにハウスを分けるという、極めて象徴的で現実的な方式です。そのため、単なる空間的区切りではなく、「人生の流れ・個人の体験・意識の移り変わり」を重視する占星術家にとって非常に有用です。

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この記事を書いた人

40代半ばより占星術を研究しています。途中仕事や子育てと学童の父母活動で進まない時期もありました。HPも一度は閉鎖してやり直している途中です。2022年より占いを専業として活動を再開しています。これからも色々な発表の場で活動したいと思います。

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