AIは占い師の敵か?それとも強力な味方か?未来の占いを考察する

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AIは占い師の敵か、それとも強力な味方か?進化する占い業界の未来

近年、「AIによって人間の仕事が奪われる」という議論が活発に行われています。この波は、もはや占い業界にとっても他人事ではありません。しかし、私はAIが占い師にとって「敵」であるとは考えていません。むしろ、強力なツールとなり、新たな可能性を切り開く存在だと捉えています。

過去から学ぶAIとの共存

かつて、パソコンが普及する前は、占星術師たちは手書きでホロスコープを作成していました。当時の占星術の入門書では、ホロスコープの計算方法や書き方が詳しく説明されていましたが、今やそれらはパソコンやオンラインツールに取って代わられ、専門書から姿を消しています。これはまさに、技術革新が伝統的な手法を変革してきた歴史の証です。

AIもまた、この自然な流れの中に位置づけられるでしょう。経験豊富な占星術師でさえ、鑑定前にホロスコープをパソコンで作成した後、さまざまな手法を駆使して分析に膨大な時間を費やします。この分析の部分をAIが担うことで、鑑定にかかる時間を大幅に短縮できる可能性を秘めているのです。

AIが拓く占いの新たな地平線

現在のAIは、直接誕生日データを入力して占いを始めることはできません。ホロスコープの軌道計算の部分がまだ組み込まれていないため、一度別のソフトウェアやウェブサイトで正確なホロスコープデータを作成し、それをAIに入力する必要があります。しかし、この一手間をかけるだけで、**AIは無料で多岐にわたる鑑定結果を提供してくれます。**これは、少し前の携帯アプリやパソコンプログラムによる占いに匹敵するレベルです。

鑑定時間の短縮だけでなく、AIは膨大なデータを瞬時に分析し、これまで見過ごされがちだったパターンや関連性を見つけ出すことも可能にするでしょう。これにより、占い師はより深い洞察や多角的な視点から相談者へのアドバイスを提供できるようになります。

AIの「落とし穴」と人間の役割

しかし、AIには明確な欠点も存在します。AIはインターネット上の多様な情報源からデータを収集して回答を生成するため、もしインターネット上に誤った情報があれば、それを正しいものとして出力してしまう可能性があります。つまり、占いを真に理解していない人がAIの鑑定結果をそのまま利用することは、誤った情報を提供してしまう危険性をはらんでいます。

また、AIに占いプログラムを作成させる試みもありますが、そこで生じた些細なバグに対処するには専門知識が不可欠です。金銭が絡む鑑定においては、責任問題も大きくなります。

これらの点から言えるのは、AIはいかに優秀な「スタッフ」になり得ても、人間のすべてを置き換えることは不可能だということです。特に、科学では割り切れない「アート」の領域においては、この傾向は顕著です。絵画や音楽、あるいは占いもまた、単なるデータ処理では測れない、**占う側と相談する側の「魂の共鳴」**といった不可思議な要素を含んでいます。AIが生成したものがどれほど精巧であっても、そこに作り手の思いや、鑑定師と相談者の間に生まれる唯一無二の化学反応を完全に再現することは難しいでしょう。

AI時代における占い師の価値

かつて、パソコンでホロスコープを作成し販売するサービスが存在しましたが、今では無料でホロスコープを作成できるサイトが多数存在します。これと同様に、AIによる鑑定が販売できるのも、もしかしたら一時的な流行に過ぎないかもしれません。AIでできる程度の鑑定は、すぐに人々を飽きさせてしまうでしょう。

しかし、これは同時に、人間だからこそ提供できる価値がより明確になることを意味します。相談者の心情に寄り添い、言葉の奥にある真意を汲み取り、個別具体的なアドバイスを導き出す。あるいは、AIにはできない「直感」や「共感」といった人間ならではの能力が、占いの質を決定づける重要な要素となるでしょう。

もちろん、AI技術がさらに進化すれば、人間の占いと区別がつかないほどの高度なAI鑑定が登場する可能性もゼロではありません。しかし、その時でさえ、人間が行う占いが持つ独自の「深み」や「温かみ」は、決して色褪せることはないと私は信じています。AIを敵視するのではなく、賢く活用し、私たち人間だからこそ提供できる価値を最大限に引き出すこと。それが、これからの占い業界に求められる姿勢ではないでしょうか。


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この記事を書いた人

40代半ばより占星術を研究しています。途中仕事や子育てと学童の父母活動で進まない時期もありました。HPも一度は閉鎖してやり直している途中です。2022年より占いを専業として活動を再開しています。これからも色々な発表の場で活動したいと思います。

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