占星術の構造から見る「好きなこと」と「収入」のギャップ
〜ホロスコープが教える自己実現と社会的成功の関係〜
「好きなことを仕事にしたい」――多くの人が抱く願いです。
しかし、実際には「好きなこと」と「収入」の間には、見えない壁が存在します。
その理由を、占星術のハウスシステムの構造からひも解いてみましょう。
1. アングルが示す「自己と他者、そして社会」の構造
ホロスコープを形成する四つのアングルは、私たちの存在が「個」と「社会」の間でどのように機能しているかを示しています。
| アングル | 意味 |
|---|---|
| ASC(アセンダント/1室) | 自己、パーソナリティ、やりたいこと、出発点 |
| DSC(ディセンダント/7室) | 他者、顧客、需要、人間関係、社会との接点 |
| MC(ミッドヘブン/10室) | 職業、社会的成功、公的評価、到達点 |
| IC(イムム・コエリ/4室) | 基盤、内面、プライベート、ルーツ |
アセンダント(1室)は「私のエネルギーの噴出点」であり、純粋な動機です。
しかし、それはまだ自己完結的な段階にあります。
社会で仕事として成立させるには、対極にあるディセンダント(7室)=他者や市場の需要と出会う必要があります。
この「自己(1室)」と「他者(7室)」の出会いが昇華される場所が、二つの真ん中の社会的地位を意味する**MC(10室)**なのです。
好きなことをやるだけでは、まだ橋が架かっていない――それが“独りよがり”の状態と呼ばれる理由です。
2. 労働と収入のトライアングル
〜2室・6室・10室がつくる「現実の仕組み」〜
仕事と収入の仕組みは、「地のエレメント」に対応する三つのハウスで構成されています。
| ハウス | テーマ | 仕事の視点からの意味 |
|---|---|---|
| 2室(価値・収入) | 経済的資源、才能を換金する力 | 稼ぎ、リソースの管理 |
| 6室(労働・奉仕) | 日々の義務、努力、習慣 | サービス提供、スキルの実践 |
| 10室(地位・職業) | 社会的役割、達成目標 | 社会的ポジションの確立 |
これに対し、1室は火のエレメントの領域。
「私はこれがしたい!」という衝動そのものであり、地のハウス群とは性質が異なります。
つまり、**1室の衝動(火)を2室の価値(地)**に変換するには、
“エレメントの変換作業”――つまり「情熱を実用的価値に落とし込むプロセス」が必要なのです。
3. 「好きなことの壁」と2室への移行
1室の衝動は、やがて行き詰まります。
やりたいことをとことんやり尽くした時、ふと現実的な疑問が浮かびます。
「これで生きていけるのだろうか?」――まさに2室のテーマ、「現実的価値」の問いです。
この移行のプロセスは、次のように整理できます。
- 1室:熱量と情熱
まずは自己満足で構わない。自分の“好き”を徹底的にやり尽くす。 - 壁(1室の限界)
熱量だけでは生きていけない現実に気づく。リソース(お金・時間)の枯渇。 - 2室へのシフト
「この情熱を他者にとっての価値にできるか?」という問いが生まれる。 - 6室の登場
価値提供のために、日々の努力・改善・奉仕が必要となる。1室とは不調和の関係(インコンジャクト)だが、ここで初めて“仕事”が動き出す。 - 10室での確立
積み上げた労働と価値提供が社会的地位(MC)として認知される。
インコンジャクト150度の関係は、60度(調和)+90度(不調和・死角)の関係で、良いとも悪いとも言い切れない微妙な位置にあって、なんとか折り合いをつけようとして拘り続ける関係が生まれます。そして苦しみ藻掻いた結果、両方に納得いく結論、つまり距離感の取り方とか、時間的な配分を考慮する事で折り合いをつけます。
4. 「他者の要求」を通して自分の願いが叶う
6室の本質は「他者の望みを叶えること」であり、それは自分の望みを叶えるための通路でもあります。
「自分だけが満足する」段階から、「他者を喜ばせる」段階に移るとき、
1室の衝動が社会的成功へと昇華します。
5. 植村直己さんに見る「自己衝動の社会的昇華」
冒険家・植村直己さんの生涯は、この構造を見事に体現しています。
ステップ1:1室/5室 ― 純粋な自己衝動
彼の出発点は「やりたい」という情熱。
個人的な喜び、冒険への愛。自己完結的な行動でした。
ステップ2:7室 ― 社会との接点
資金や協力者を得るために、スポンサーやメディアと関わるようになります。
ここで「他者の期待に応える」という視点を持ち、
自分の挑戦を社会的な意義へと再定義しました。
はじめ、植村さんは、自分の冒険の成功なんて他の人にとって、なんの意味もないと思っていました。
しかし、植村さんの誰もやっていなかった事への挑戦、そして成功は、他の人にとっても人生や望んでいる事への挑戦という大きな感動、勇気を与える事だったのです。
ステップ3:2・6・10室 ― 職業としての冒険
- 2室:講演料や印税など、成果が収入へと結びつく。
- 6室:訓練、計画、報告義務――プロの仕事としての労働。
- 10室:国民的な英雄としての社会的地位の確立。
こうして、彼の“好きなこと”は“職業”へと変わり、最終的には国民栄誉賞という形で社会に認知されました。
6. 「好きなことをやればお金はついてくる」は半分真実
スピリチュアル界でよく言われるこの言葉は、
途中の「社会化のプロセス(2→6→10室)」を省略しています。
本当の意味は、
「好きなことを原動力に、他者に価値を提供する努力を続ければ、お金は結果としてついてくる」
ということです。
7. ホロスコープは「運命」ではなく「仕組み」
ホロスコープは、未来を予言するためのツールではありません。
人生のエネルギー構造を理解し、
どの段階で何を意識すればよいかを教えてくれる“設計図”です。
「好きなこと」と「収入」のギャップに悩むとき、
あなたのホロスコープはその解決のヒントを示しています。
結び
自分の夢を叶えるには、他者と社会に向けてその熱量を変換する必要があります。
そして、その仕組みを理解することが、占星術を学ぶ最大の意義でもあります。
もしもこの記事を読んで、「自分のホロスコープではどんな形でこの流れが起きるのか」を知りたくなった方は、
プレマにご相談ください。
あなたの“好き”が“生きる力”になる道筋を、一緒に読み解いていきましょう。

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